過去の研究発表会 (2003年 〜2008年)


 第10回 研究発表会  (終了しました)

日時:2008年10月12日(日) 14:00−17:00
場所:神戸大学文学部文化学棟3階大会議室
テーマ:『比較文学におけるマラルメ』
司会 竹内信夫(東京大学名誉教授)
<研究発表>
1.「それぞれの「空」−竹内勝太郎とマラルメ」 
  ・・・中畑寛之(神戸大学人文学研究科准教授)
2.「ステファヌ・マラルメ作16行詩"Apparition"をめぐる Intertextuality」
  ・・・武田紀子(広島大学総合科学部准教授)
<講師プロフィール>

武田紀子(たけだのりこ)
東京大学教養学部卒業 。同大学院総合文化研究科比較文学専攻修士課程修了。トロント大学にて博士号を取得。専門はマラルメ、および比較文学。主著にThe Modernist HumanーThe Configuration of Humanness in Stéphane Mallarmé's Hérodiade, T. S. Eliot's Cats and Modernist Lyrical Poetryー, Peter Lang, 2008がある(左記の写真)。




 第9回 研究発表会(創立5周年記念講演) (終了しました) 

日時:2007年10月6日(土) 14:00−18:00
場所:神戸大学滝川記念学術交流会館
司会:枝川昌雄(神戸大学文学部教授)
講演者:竹内信夫(東京大学名誉教授)
題 目:「ベルトラン・マルシャルの『マラルメの宗教』について」
<講師プロフィール>
竹内信夫(たけうちのぶお)
1945年生まれ。1970年東京大学文学部卒業。1973−76年ソルボンヌ大学留学。帰国後、東京大学文学部助手、東京工業大学助教授を経て、東京大 学総合文化研究科教授に就任。2007年3月に退職。専攻はフランス近代詩、比較文化論。
主な著書に『空海入門ー弘仁のモダニスト』(ちくま新書)、主な訳書にM・パンゲ『自死の日本史』、『マラルメ全集III 言語・書物・最新流行』(以上筑摩書房、後者は共訳)、C・レヴィ・ストロ−ス『遠近の回想』、『みるきくよむ』(以上みすず書房)、H・メショニック 『詩学批判』(未来社)などがある。
<研究会報告>
 抜けるような青空がまぶしく感じられる初秋の午後、第9回関西マラルメ研究会が神戸大学滝川記念学術交流会館にて開催されました。5周年記念講演に相応し く、神戸港が一望できる素晴らしく見晴らしの良い会場での研究会となりました。講演は長年マラルメ研究に携わってこられた東京大学名誉教授の竹内信夫先生 がお引き受け下さいました。また、司会は神戸大学教授の枝川昌雄先生が急遽お引き受け下さいました。

 竹内先生の関西マラルメ研究会での初めての講演ということで、大阪大学教授の柏木隆雄先生、京都大学名誉教授の松島征先生という同世代の先生方が駆 けつけて下さいました。加えて、関東学院大学の大鐘敦子さん、学習院大学の水野雅司さん、広島大学の武田紀子さんなど遠方からの参加者が多かったことも今 回の特徴でした。また、早稲田大学から京都大学に至る各大学の院生、学部生が数多く参加してくれたこともあり、今回は出席者が総勢20〜25名に及ぶ賑や かな研究会となりました。

 研究会はまず、竹内先生に長年私淑されてきた慶応大学非常勤講師の原山重信さんが竹内先生のご経歴をご自身の思い出も交えながら紹介されました。そ れを受けて竹内先生がマラルメ研究者としてのご自身の総括をされながら、今回のテーマであるベルトラン・マルシャルの『マラルメの宗教』(1988年)へ とお話を進めて行かれました。マルシャルに先駆けること10年、マラルメにおける<神性>という概念に注目される学会発表をされた竹内先生は、その後知り 合うマルシャルにご自身の関心と大きく重なる部分を見出されたようです。しかしながら、先生はマルシャルに対してこれまで触れられることはあまりなく、今 回が初めての本格的な言及となります。その理由は何なのか。マルシャルに対する複雑な思いを初めて吐露されながら、しかし、マルシャルに触発されて再びマ ラルメを読み返すことを通じて、新たにマラルメに対するご自身の考えを築き上げて行かれることになった経緯を、様々なテクストを例として挙げながら述べら れました。マルシャルのテクストに対し最大級の敬意を払いつつ、その重要な部分と問題点を次々に挙げられるという行為は、神話、宗教の問題に精通し、且つ マラルメのテクストを深く読み込んでおられる竹内先生にしか出来ぬ技と改めて思わされました。

 講演は休憩時間を挟んで3時間半に及び、その後も1時間近く質疑応答がなされました。「マルシャルと竹内先生の考えの大きな違いは何なのか」、「マ ラルメにおける<神性>とは結局のところ何なのか」、「マラルメの最晩年の草稿群と<神性>はどう繋がるのか」、「マラルメが意図していた<人間>とは何 なのか」など会場からは極めて興味深い問いが投げかけられましたが、先生は一つ一つの質問に実に丁寧に答えて下さいました。精緻なマラルメ読解と深い人間 性に支えられた今回の竹内先生の講演は、関西マラルメ研究会に間違いなく大きな刺激を与えて下さったことと思います。

 充実した研究会を支えて下さった方々、特に会場からの質問を見事な手さばきで処理された司会の枝川先生、加えて、会場のトラブルを迅速なる対応で解 決し、会を成功に導いて下さった大阪大学助教の深川聡子さんと同大学院の足立和彦さんのお三方には厚くお礼を申し上げます。(坂巻 康司) 




 第8回 研究発表会 
(終了しました)

日時:2006年12月28日(木) 14:00−17:00
場所:大阪大学大学院文学研究科第一会議室
司会 寺本成彦(東北大学助教授)
コメンテーター:宮嵜克裕(同志社大学専任講師)
<研究発表>

1.「『悪の花』における主体について」 
  ・・・廣田大地(大阪大学博士課程)
2.「フローベール・マラルメ・ルドン サロメ=エロディアードのダンスをめぐる供犠の系譜」
  ・・・大鐘敦子(関東学院大学助教授)
<発表者プロフィール>

大鐘敦子(おおがねあつこ)
1964年京都生まれ。1987年慶応義塾大学文学部文学科仏文学専攻卒業。1995年慶応義塾大学文学研究科仏文学専攻博士課程満期退学。2005年2 月慶応義塾大学文学研究科仏文学専攻博士学位取得(論文)。現在、関東学院大学法学部教授。主著:La genèse de la danse de Salomé-L'<<Appareil scientifique>> et la symbolique polyvalente dans Hérodias de Flaubert , Keio University Press, 2006.(左の写真)

廣田大地(ひろただいち)
1981年金沢生まれ。現在、大阪大学大学院文化表現論専攻仏文学専修博士課程在籍。専門はボードレール。2007年秋からパリ第3大学に留学し、博士論 文を執筆している。
<研究会報告>
 第8回研究発表会は東京からフローベール研究の大鐘敦子さんをゲストにお招きし、大阪大学で開催されました。司会にはロートレアモン研究の寺本成彦さんが 東北大学から、コメンテーターとして宮嵜克裕さんが同志社大学から御多忙にも拘わらずそれぞれ駆けつけて下さいました。年の瀬の忙しない時期にも拘わら ず、複数の分野にまたがる20名ほどの研究者の参加を得ることが出来たことは僥倖でした。

 発表の方は、 まず、篤実な研究を続けておられる大阪大学博士課程の廣田大地さんが、ボードレールの『悪の花』における主体の在り方を分析する発表をされました。『悪の 花』における「私」は様々な形を取って現れており、それはマラルメ的な主体の在り方とも違う特殊ボードレール的な主体の在り方をしているということを幾つ かのテクストを使って検証されました。その際、廣田さんは言語行為論的なアプローチによって主体の在り方を分析するという興味深い手法を取られました。発 表後、会場からは「ボードレールの「モデルニテ」の思想を踏まえた主体の捉え方なのか」、「非人称性、非人格性、非人間性などの用語の使用が曖昧ではない か」などの質問が寄せられましたが、発表自体は示唆的な問題提起を含んでおり、今後の発展を予感させるものでした。

 一方、関東学院大学助教授の大鐘敦子さんは御自身が慶応大学出版局からこの春に出版された著書<<La genèse de la danse de Salomé>>のうちの一章を発展させた発表をされました。マラルメの『エロディアード』とフローベールの『三つの物語』の「ヘロディア ス」において現れる「サロメ」の踊りがいかなる神話的・宗教的な意味を持つのかを、豊富な資料を駆使しつつ丹念に分析されました。特にマラルメのテクスト <<Epouser la notion>>というマラルメ研究者でもなかなか扱わない難解なテクストを用いるなどして、「サロメ=エロディアード」の踊りにおける「相 互の犠牲」というテーマを炙り出された部分には聴衆も唸らされたように思われます。会場からは「noces(婚姻)が複数形である意味をどう考えるか」、 「マラルメにおける詩人の死と復活のテーマとの関係はどうなのか」などの質問がありましたが、全体的には粘り強く対象に迫って行く大鐘さんの研究姿勢への 称賛の声が多かったようです。




 第7回 研究発表会 (終了しました)

日時:2006年6月17日(土) 14:00−17:00
場所:神戸大学文化学研究科3階大会議室
テーマ:『マラルメとヨーロッパ』

<研究発表>    
1. 「マラルメとドイツ」 
   ・・・飛鳥井雅友(京都大学非常勤講師)
2. 「マラルメ ― ヨーロッパより見たる」 
   ・・・中畑寛之(神戸大学非常勤講師)
<発表者プロフィール>

飛鳥井雅友(あすかいまさとも)
1962年生まれ。京都大学文学研究科博士課程学位取得終了。ドイツ文学専攻。現在、京都大学、立命館大学他で非常勤講師。訳書に『世界宗教事典』(共 訳、青土社)、カツェネルソン『滅ぼされたユダヤの民の歌』(共訳、みすず書房、1999年)がある。
<研究会報告>
第7回研究発表会は『マラルメとヨーロッパ』というテーマで、ヨーロッパ全体の中で見たマラルメの文学の位 置を炙り出すという意図のもとに開催されました。当日は豪雨のため、多くの方が欠席されたのが惜しまれますが、研究会自体は充実したものとなりました。 京都から駆けつけてくださった飛鳥井氏は叙情詩の近現代ドイツ文学史における盛衰を検討され、その中で、ゴットフリート・ベンが果たした役割をマラルメと の関連から精緻に検討するという作業をなされました。ドイツ詩におけるマラルメの詩学の影響が、甚大なものであったことを浮かび上がらせてくれるご発表で あったと思います。


    


 第6回 研究発表会 (終了しました)

日時:2005年11月5日(土) 14:00−17:00
場所:神戸大学文化学研究科大会議室
司会 松田浩則(神戸大学文化学研究科教授)

テーマ『ヴァレリーをめぐって』

<研究発表>

1. 「マラルメから見たヴァレリー」 
  ・・・中畑寛之(神戸大学非常勤講師)
2. 「声の構築--ヴァレリーにおけるマラルメの位置」 
  ・・・森本淳生(一橋大学言語社会研究科助教授)
<発表者プロフィール>
森本淳生(もりもとあつお)
1970 年東京生まれ。1996年京都大学大学院文学研究科博士課程中退。1996-2005年京都大学人文科学研究所助手。2005年ブレーズ・パスカル=クレ ルモン第2大学博士号取得。2005年より現職。主著に『小林秀雄の論理-美と戦争-』(人文書院、2002年)、『未完のヴァレリー-草稿と解説-』 (共編著、平凡社、2004年)など。
<研究会報告>
第6回研究発表会は「マラルメから見たヴァレリー、ヴァレリーから見たマラルメ」という形で、師弟の関係にあった 二人の思想の違いを炙り出す、という趣旨のもとに開催されました。このために、気鋭のヴァレリー研究者である森本淳生氏が東京から駆けつけてくださいまし た。また、ヴァレリー研究を専門とされる松田浩則先生が快く司会を引き受けてくださり、会を盛り上げててくださいました。まず、マラルメとの書簡における ヴァレリーの姿を中畑氏が丹念に検証しました。一方、森本氏はマラルメの『イジチュール』のヴァレリーへの影響についての議論から始め、ヴァレリーの思索 全体の中でのマラルメの姿を鮮やかに浮き彫りにされました。また、今回は在野のヴァレリー研究者でありながら、専門家も瞠目する翻訳・注解を発表されてい る中井久夫先生(下記写真参照)が御参加くださったため、中身の濃い議論が展開され、この研究会としてはまさに「僥倖」となりました。




 第5回 研究発表会  (終了しました)

日時:2005年6月4日(土) 14:00−17:00
場所:関西学院大学文学部新館大会議室
司会 北村 卓(大阪大学言語文化部教授)
テーマ『マラルメと現代詩の地平』

<研究発表>

1. 「マラルメとポンジュ」 
  ・・・横道朝子(関西学院大学非常勤講師)
2. 「マラルメと純粋言語--ベンヤミン、ツェラーンから補助線を引く試み」
   ・・・細見和之(詩人、大阪府立大学人間社会学部助教授)
<発表者プロフィール>
細身和之(ほそみかずゆき)
1962 年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科単位取得退学。専攻はドイツ思想。著書に『アドルノ』(講談社、1996年)、『アイデンティティ/他者性』(岩 波書店、1999年)、『アドルノの場所』(みすず書房、2004年)など。訳書にアドルノ『認識論のメタクリティーク』(共訳、法政大学出版局、 1995年)、『社会学講義』(共訳、作品社、2001年)、ベンヤミン『パッサージュ論II V』(共訳、岩波書店)など。

横道朝子(よこみちあさこ)
関西学院大学大学院文学研究科博士課程満期退学。2005−2006年にナント大学大学院に留学。専攻はフランシス・ポンジュ。
<研究会報告>
第5回研究発表会は「現代詩人におけるマラルメの影響を検証する」という趣旨のもとに開催されました。発表 者には、新進のポンジュ研究者であられる横道朝子氏、そして、御自身も詩人であり、同時に現代ドイツ思想の専門家でもあられる細見和之氏をお招きしまし た。司会は、お二人と親しい間柄であられる大阪大学の北村卓先生が快く引き受けてくださいました。横道氏は多くのテクストを使ってポンジュにおける「マラ ルメの影」を論証されました。他方、細見氏は「純粋言語」という観点からドイツ現代思想とマラルメの文学観との関係を鮮やかな形で検証されました。また、 最後に氏はユーモアに富んだ御自身の作品を披露され、会場に爽やかな笑みをもたらしてくれました。お二人とも渾身の御発表を繰り広げてくださったおかげ で、会は全体で4時間を越える長丁場となりましたが、極めて充実した研究会となったと思います。





 第4回 研究発表会 (終了しました)

日時:2004年11月6日(土) 14:00−17:00
場所:神戸大学文化学研究科会議室
司会 中畑寛之(神戸大学文学部助手)

<研究発表>

1. 「メーテルランクの初期戯曲におけるマラルメ的演劇観」
  ・・・坂巻康司(大阪産業大学非常勤講師)
2. 「マラルメのランボー観その他 」
  ・・・宇佐美 斉(京都大学人文科学研究所教授)
<発表者プロフィール>
宇佐美 斉(うさみひとし)
1942 年生まれ。京都大学文学部卒業。フランス近代詩にかかわる種々の論文を執筆。著作に『ランボー私註』(国文社、1979年)、『立原道造』(筑摩書房、 2006年[新装版])、『落日論』(和辻哲郎文化賞、筑摩書房、1989年)、『詩人の変奏』(小沢書店、1992年)、編著書に『フランス・ロマン主 義と現代』(筑摩書房、1991年)、『象徴主義の光と影』(ミネルヴァ書房、1997年)、『アヴァンギャルドの世紀』(京都大学学術出版局、2001 年)、『日仏交感の近代』(京都大学学術出版局、2006年)、訳書に『素顔のランボー』(筑摩書房、1991年)、『ランボー全詩集』(筑摩書房、 1996年)など多数。
<研究会報告>
第4回研究発表会には京都大学人文科学研究所からフランス象徴主義文学を専門とされる宇佐美斉先生をお招き しました。先生はマラルメの残したランボー論を手がかりに、マラルメにおける時間の観念を、精緻な形で検証されました。じっくりと、そして確実に対象に向 かって行く先生の論法に、聴衆は感嘆させられたことと思われます。坂巻は従来あまり分析されることのなかったメーテルランクの初期戯曲『マレーヌ王女』の 劇作術に、マラルメの演劇理論がどれだけ反映されているかを論証し、象徴主義演劇においてマラルメが果たした役割を改めて検証しました。




 第3回 研究発表会 (終了しました)

日時:2004年5月8日(土) 14:00−17:00 
場所:大阪大学文学部第一会議室
司会 坂巻康司(大阪産業大学非常勤講師)

テーマ『マラルメと20世紀文学』
<研究発表>
1. 「福永武彦とマラルメ」
   ・・・岩津 航(関西学院大学博士課程)
2. 「ブランショのマラルメ論 - その存在論的解釈をめぐって」
   ・・・水野雅司(学習院大学外国語教育センター助教授)
<発表者プロフィール>
水野雅司(みずのまさし)
1962年長野生まれ。千葉大学大学院修士課程修了。学習院大学大学院人 文科学研究科博士課程単位取得退学。同大学助手を経て現職。専攻は20世紀フランス文学。翻訳にモーリス・ブランショ「他処から来た声-ルイ=ルネ・デ フォレの詩について」(『リテレール』第6号、メタローグ、1993年)、フローランス・ドゥレー「小説の言葉」(『小説・演劇・言葉』、学習院大学人文 科学研究科、1998年)、ローラン・ド・ウイルド『セロニアス・モンク-沈黙のピアニズム』(音楽之友社、1997年)がある。
岩津 航(いわつこう)
1975年大阪生まれ。関西学院大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。2007年パリ第4大学 博士課程修了(文学博士)。2008年4月より金沢大学文学部専任講師に就任。訳書にウーク・チャング『キムチ』(青土社、2007年)がある。専攻はフ ランス文学・比較文学(プルースト、福永武彦)。
<研究会報告>
第3回研究発表会は「マラルメと20世紀の小説のつながりを検証する」という趣旨のもとに開催さ れました。岩津航氏は、従来ボードレールとの影響ばかりが強調されてきた福永武彦の作品の中に、確かにマラルメ的文学観があることを鮮やかに立証されまし た。一方、東京から駆けつけてくださった水野雅司氏は、ブランショのマラルメ論をハイデガーの言語論などと比較対照しつつ、再度、議論の俎上に載せまし た。20世紀の小説においてもマラルメの影響はやはり大きいということが改めて実感される研究会となりました。ただ、いつもよりやや出席者が少なかったの が残念なことでした。




 第2回 研究発表会 (終了しました)

日時:2003年10月4日(土) 14:00−17:00
場所:京都大学人文科学研究所大会議室    
司会 大浦康介(京都大学人文科学研究所助教授)

<研究発表>
1. 「ワーグナー楽劇から近代詩の詩学へ - 三つのキーワード」
   ・・・岡田暁生(京都大学人文科学研究所助教授)
2. 「マラルメにおける≪公共の領域≫の概念について- 後期マラルメの文学理念についての予備的考察」
   ・・・宮嵜克裕(京都大学大学院研修員)
<発表者プロフィール>
岡田暁生(おかだあけお)
1960 年京都生まれ。大阪大学大学院文学研究科単位取得退学。大阪大学助手、神戸大学発達科学部助教授を経て現職。著書に『バラの騎士の夢』(春秋社、1997 年)、『オペラの運命』(中公新書、2001年)、『西洋音楽史』(中公新書、2005年)、『ピアノを弾く身体』(監修・共著、春秋社、2003年)、 訳書に『シャンドールピアノ教本』(監訳、春秋社、2005年)などがある。

宮嵜克裕(みやざきかつひろ)
1962年生まれ。2002年、京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。専攻はマラルメを中心とする19世紀フランス文学。現在、同志社大学言語 教育センター専任講師。訳書にスタインメッツ『マラルメ伝-絶対と日々』(共訳、筑摩書房、2004年)がある。
<研究会報告>
第 2回研究発表会は京大人文研の諸メンバーの御協力のもとに開催されました。司会は文学理論を専門とされる大浦康介氏が快く引き受けてくださいました。ま ず、音楽学者の岡田暁生氏は自家薬籠中のものである音楽理論を巧みに使いながら、ワーグナーと近代詩の繋がりを明らかにされる鮮やかな発表をされました。 続いて宮嵜克裕氏は後期マラルメの散文の中に出てくる「公共の領域」という概念を、「文学基金の提言」という文脈を重視しながら、同時に詩学との関連から も読み解くという興味深い発表をされました。今回は場所が京都だったせいもあるのか、東京から広島までの広範囲の地域から多くの参加者を得ることが出来、 また、活発な質疑応答がなされました。




 第1回 研究発表会 (終了しました) 

日時:2003年5月10日(土) 14:00−17:00
場所:神戸大学文化学研究科会議室
司会 森本淳生(京都大学人文科学研究所助手)

テーマ:『マラルメ:都市と演劇』
<研究発表>
1.「ゴーチエからマラルメへ - 舞踊批評の変貌」
  ・・・坂巻康司(大阪産業大学非常勤講師
2.「マラルメと都市」
  ・・・中畑寛之(神戸大学文学部助手)
<研究会報告>
記念すべき第1回研究発表会は神戸大学で開催されました。まず、「関西マラルメ研究会」の設立の趣旨について坂巻 が発表した後、「都市と演劇」という共通テーマのもとに二つの発表がなされました。坂巻はマラルメの舞踊評論がゴーチエの時代のものといかに異なる思想か ら成立しているのか、という点について考察を行いました。一方、中畑氏はマラルメにおける「都市」の意味について「地方」との関係から考察し、且つ、その 役割を歴史的・政治的に分析しました。出席者から様々な質問が飛び交う賑やかな会となりましたが、司会を引き受けてくださった京大人文研助手(当時)の森 本淳生氏がそれらを鮮やかにさばき、会をまとめてくださいました。


※ 職名は研究会当時のもので、敬称は省略させていただいております。


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